「音波」というペンネームをつかっています。


by rui-joe

カテゴリ:詩( 5 )

Tomorrow never knows

トド松の事を知らない チョロ松の中で
一松の 移りゆく松野家を
眺めていた

おそ松過ぎて消えた
カラ松の夢の面影を
すれ違う十四松に
重ねたりして

六つ子に人を裏切れる程
ダヨーンダヨーン欲しがっていた
分かりあえたトト子
愛したハタ坊さえも

チビ太の事さえ出来ずに
今日もイヤミを抱き
夢中で駆け抜けるけれども
まだデカパン見えず

勝利も敗北もないまま
孤独なレレレは続いてく
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by rui-joe | 2015-11-03 23:43 |

リズム

ここからはどちらを見ても花ばかり続き、
大きく傾いた枝の奥にたくさんの羽音が聞こえる。

こっちに出てきても、なにもありませんよ。

どうかしたのでしょうか、みどりいろに黙ってしまうなんて。
舌の中まで凍り付いて、たくさん失われてしまいましたね。
乾いた果実たちのことを、見なかったようにして。

――――静寂―――

あじさいになるには、ちょっとしたコツがあります。
印象ではノーと言うことしかできませんが、
あなたの判断ではないことは、すべて啓示です。

(無論、知っていましたよね?)

ほら、アナウンサーが今朝も宣言します。

「みなさまのゆく明日に、たくさんのカマンベールがありますように。
 そして年月が、みなさまに平等に訪れますことを!」

果てがないということは、直ちには分からなくて。
たくさんのヒメジオン、
ほんとうにたくさんの絵筆の下の・・・

(二回だけ生き返ってももいいですか?)

誰のものか分からない電話に出るとき、
ふたしかであっても仕方がないこと。
これが個人的な感傷で、きっと、あなたにも。

いつか分かち合える時まで、
ここに、きっと隠しておきましょう。
はじめまして、あなたがた。
いつか、単純なリズムになってしまうまでのこと。
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by rui-joe | 2014-01-26 04:00 |

エノキダケ

今日、会社でひさしぶりにエノキダケに会ったよ、と
父が言うので、
一度だけ家に遊びに来たことのある
エノキダケとのあまり愉快ではない思い出が蘇った。

父の会社の上司の友人の身内だとかいうことで
いわゆるお見合いのようなものだったのだが
もっと肩の凝らない気楽なあつまりにしたいということを
父と父の会社の上司と父の会社の上司の友人が相談をして決めており
わが家にエノキダケを招待することになったのだった。

会ったこともないエノキダケと仲良くするなんていうことは
その頃の私の想像力を突き抜けた珍事であって、
わたしは何週間も何日も前から気の乗らない気分だったのだが、
せっかくの土曜日を一日つぶしてうちにやってくるということで、
少しは友好的な思い出を残してやりたいと思い、
また、ある程度は、自尊心のようなものをくすぐられてもいたのだろうか、
エノキダケのことを暖かくもてなしてやろうと思ったのだった。

それまでにキノコの類と親しくしたことのなかったわたしはしかし、
エノキダケの訪問を心待ちにしていると思われるのもしゃくだったので、
父にはエノキダケとはどう付き合えばよいのかを聞くこともできず、
丘の上の図書館までバスに乗って出かけてゆき
図鑑でエノキダケのことを調べたのだった。
図書館の3階の自然科学のフロアからは
丘の下の街並みと緑を見下ろすことができてとても心地がよく
そうした明るい光の中で様々な色や形をしたキノコの写真が収められた図鑑のページを繰っていると
わたしはなぜここでエノキダケのことを調べているのか
本当はよくわからなくなっていたのだった。

わたしは本当はエノキダケのことを待ち望んでいるのだろうか。
あんなものはキノコにすぎないのだ。
これまでに数限りなく味噌汁にしてきたナメコのことや
お吸い物に入れてきた乾燥シイタケのことや
トマトソースに混ぜ合わせてパスタに投入してきたマッシュルームのことを
私は一度でも、交際相手として認めたことがなかったのではないだろうか。
しかしそれらのことはすべて、
あの明るい陽の照らす丘の上の図書館の3階の自然科学のフロアでは
ぼやけて遠くなって消えていってしまうのだ。

わたしはそれからこうしてこの丘の上の図書館の5階の人文科学のフロアで
ずっと自分の心を探して本のページをめくり続けている。
図書館にはあまりにたくさんの本が収められているので、
そのどこにわたしの心が書かれているのか、
すぐに見つかると思っていたのにも関わらず
見つけることができなくて帰るに帰れなくなってしまったのだ。
エノキダケのことをこうして思い出していると
胸のどこかがチクリと痛む気がするのだが、
いつかこんな気持ちも本のどこかに隠れてしまうのだろう。
早くわたしの心をみつけなくては
あのとき裏切ってしまったエノキダケに申し訳がたたない。
しかし、そんな気持ちも、いつかわたしは忘れてしまう。
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by rui-joe | 2013-02-25 23:42 |

もし僕らの春に



もしわたしたちが
日本列島を好きにデザインしていいとしたら、
下北半島をあんな風に
しないんじゃないかと思う。
でもこれはこれで、
食パンの袋の口を閉じるやつににていて、
便利そうだからいい。

もしわたしたちが
自分が好きな奥歯を生やせるとしたら、
下の歯が抜けたときにあんな風に
屋根に歯を投げたりしないんじゃないかと思う。
でもそれはそれで、
うちの雨樋に乳歯が詰まったりしなくなって、
便利そうだからいい。

もしわたしたちが
好きなものにベルマークをつけていいとしたら、
下校時間がくるまであんな風に
点数を数えたりしなかったんじゃないかと思う。
でもそれはそれで、



あなたたちには銀のエンゼルなら5枚がありますから、
(はい、わたしたちには、銀のエンゼルなら5枚があります)


鳴り響くウェストミンスターの鐘の音

夕映えが校庭に落とす団地の13号棟の影

学校を牛耳っているといわれていた教頭の眼鏡



わたしたちには、

ヤマザキ春のパン祭りがあります。
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by rui-joe | 2012-10-17 01:56 |

てんぷら

01

はじめに主は言われた、「てんぷらのぷらあれ!」

02

てんぷらのぷらの父は波浪警報、母は流しの陶芸教室であった。

03

てんぷらのぷら!その妙なる調べに私の五感は陶然となり、意識は幽明の境をただよう。低音域から一気に駆けあがるかのような音符の連なりは、私の精神をも高揚させてゆくかのようである。宇宙のすべては渾然となって、てんぷらのぷらと私との、永遠の対話の中に集約されていくのである。

04

ぼくはおおきくなったら、てんぷらのぷらをやっつけてみせる。もうだれも、こんなかなしいきもちにならないように、かならず。そう、かならずだ。

05

ちょっとシャイなカレシに、勇気を出させるための恋のマホウって知ってる?お風呂に入って体をきれいに洗ったあと、ピンクローズの香水を一滴、それから、てんぷらのぷらをお湯に落としてみて。よーく洗って、ぴかぴかのカラダになってからじゃないとダメ。それからじっくり、そのお湯を体に染み込ませるの。そうしたら、必ずカレのほうから誘ってくれるんだって♪

06

はい、裁判長。わたしが店に勤めていたころから、鮮度の落ちたてんぷらのぷらの部分だけを、再利用してもう一度お客様にお出しすることがありました。ご承知のように、てんぷらのぷらの部分だけでしたら、よほど舌の肥えたお客様でなければ、すこし古くなったものを使っても気づかれる恐れはありませんでしたから。そのような店のやり方が嫌になって、わたしは今の店に移ったのですが・・・。ええ、裁判長、わたしとしても、今回このような問題になって、とても残念な気持ちです。

07

われわれに!てんぷらのぷらがある限り!われわれはこの先何年でも戦うことができる!われわれは選ばれた民であり、われわれの理想の実現を拒む愚昧な他民族どもを、てんぷらのぷらの威光によって正しい道に導くことこそ、われわれの真の使命なのであるからだ!

08

てんぷらのぷらの秘密を教わってあなたはだんだん母に似てくる

09

宇宙空間には何もないという立場と、宇宙空間はてんぷらのぷらで満たされているとする立場がかつてあったが、光の速度を厳密に測定することが可能となった現在では、宇宙はてんぷらのぷらでいっぱいであることが明らかになっている。

10

みんな自分の小さな幸せを守るために、精一杯になってがんばっている。どんな嫌なことがあっても、翌日には今日と同じ時間に起きて、知らない人とぶつかり合いながら満員電車に乗って、会社に通わなくっちゃならないんだ。そうやって疲れて疲れて疲れきって、ああ、これは本当にもうダメかもしれないなって思ってしまったら、そういうときには、てんぷらのぷらのことを考えるといい。みんな、おんなじなんだよ。なんだか分からないもの、すごく恐ろしいものと立ち向かわなきゃならないときは、きっとてんぷらのぷらが役に立つんだ。だっててんぷらのぷらは、誰からも近い、すごく近いところにあるんだからね。
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by rui-joe | 2011-01-23 03:30 |